月々の負担も、買ったほうが大幅に軽い
対象とした物件は、東京都江東区にある2LDKの中古マンションです。専有面積は約56平米、築年は12年。当初、1ヵ月 14万9000円の家賃で賃貸住宅として募集されていました。その後、3100万円で売却されています。
この物件を買った場合と借りた場合に、35年間の総支払額がどうなるかを比較してみました。購入の場合、頭金は価格の約1割に当たる300万円。残り2800万円が借入です。購入時には、登記費用や仲介手数料などの諸費用が150万円強かかります。頭金と合わせると、自己資金として450万円くらい用意しなければなりません。
賃貸でも初期費用がかかりますが、買うときよりも大幅に少ない金額です(※注)。その他、詳細は前掲の【物件1の概要】をご覧ください。
※注:実際に賃貸住宅に入居する場合の初期費用は、敷金2カ月+礼金1ヵ月+仲介手数料1ヵ月分+前家賃1ヵ月で、合計で家賃の5か月分(約75万円)ですが、図1の試算では、退去時に戻ってくる敷金、賃料に含める前家賃は差し引いているため、礼金と仲介手数料の2か月分のみ(約30万円)を計上。
購入した場合の住宅ローンはフラット35で、金利はこの10月時点の2.4%を採用しました。全期間固定なので返済額は最後ま で変わりません。35年返済で計算すると、毎月返済額は約9万9000円です。ボーナス払いはありません。この段階では、家賃より6万円以上も軽い負担となります。
ただし、購入すると固定資産税などの税金、建物のメンテナンスにかかわる修繕積立金があります。賃貸でも共益費があります。これらの経費を含めて、購入と賃貸の月額負担を比べたのが図2です。
結果は、購入が約12万4000円、賃貸が16万円弱。なんと約3万5000円も、購入したほうが負担は軽くなるのです。これをローン返済が終わる35年間のトータルで比較すると、購入が5651万円、賃貸が6961万円。差額が1310万円となりました。月々で計算しても、トータルで計算しても、圧倒的に購入のほうがトクになることがわかります。